愛でる

亀は縁起の良い生き物なのは今も昔も変わらない。
各地に亀の字が付く地名があったり、商品名や商標、或いはモニュメントとして見かけることがある。
ここではニホンイシガメに限らず、亀に因んだものを集めてみた。

普通に考えて淡水亀ならばニホンイシガメかスッポンがモデルになっている筈である。
まあ実際はそうでもなさそうなのだが…


目次

  1. 亀戸天神社(東京都江東区亀戸)
  2. 北星神社(千葉県我孫子市)
  3. 柴崎神社(千葉県我孫子市)
  4. 諏訪神社(千葉県柏市)
  5. ㈱亀の子束子西尾商店
  6. 浮世絵
    • 歌川広重 – 深川萬年橋/廣重名所江戸百景
    • 歌川国芳 – 木曽街道六十九次之内 福島 浦嶋太郎
  7. イシガメの里(作・写真:松久保 晃/小峰書店)
  8. 池亀 蓑亀(池亀酒造/福岡県久留米市)

亀戸天神社(東京都江東区亀戸)

亀戸天神社の手水舎
亀戸天神社の手水舎
どっからどう見てもニホンイシガメである。🐢❤️
名前からして有難い亀戸天神社の手水舎にはこの方がいらっしゃる。

まあ清水を吐くんだから、海亀という訳にはいかなかったのだろう。
おめでたいこの蓑亀はどっからどう見てもニホンイシガメ以外の何者でもない。

もうね、ニホンイシガメ飼いにとっては聖地。
冬眠中の健康祈願にぜひどうぞ。

亀戸天神社

北星神社(千葉県我孫子市)

狛亀が鎮座する本殿

何故か狛犬ではなく狛亀が鎮座している謎の神社である。
どうやら歴史上の誰かの化身として祀る風習から来ているとかいないとか。
四肢の形状からウミガメではなさそうである。
甲羅から藻の尻尾が付いた蓑亀(みのがめ)であることからもモデルは淡水亀で間違いない。
なんとも愛らしいではないか。

吽形の狛亀

阿形の狛亀

建物

国道6号線の我孫子市と柏市の境に位置する神社である。
ネットで狛亀の存在を知って向かうも車の入り口が分からなくて難儀した。
鳥居は国道に面しているが、流れの早い6号線から曲がるのは勇気が要るし、駐車する場所もあるのかないのか分からなかった。
仕方なく裏道に路駐して事なきを得た。

旧い狛亀?!

最初に紹介した狛亀は比較的新しいものらしく見るからに彫りたてっぽいし、形がややデフォルメされていた。
一方以下に紹介するのはかなり古いもので、恐らく元はこっちが狛亀として鎮座してのだろう。
やはり蓑亀になっており、甲高が低く淡水亀として凄くリアルである。
既に頭部が朽ちておりどんなお顔だったかは分からないが、これは間違いなくニホンイシガメがモデルになっていると思う。


柴崎神社(千葉県我孫子市)

柴崎神社の鳥居、階段はさほど多くない。

狛亀がある北星神社のすぐ近くにある柴崎神社。
こちらは狛亀ではなく普通の狛犬だったりするが、何故か亀の石像がある。
形状的には狛亀であった可能性もあるような気がする。
駐車場も整備されており訪れやすい。

亀の石像たち

狛犬の手前に置かれた大小の亀の石像たち。
一体モデルは何亀だったのか皆目見当がつかない。(笑)
唯一口吻の尖った蛇のような顔をした亀が全体のフォルムからニホンイシガメに似ている様な気がする。
ただコイツは蓑亀ではないのが不思議だ。

思うに、甲高の高いリクガメのようなフォルムは極々最近の彫り物だと思われる。
何故なら江戸時代以前に庶民が象亀のようなリクガメを見る機会は無かった筈だから。
昔から日本で見られたウミガメも淡水亀も、水棲亀はみな甲高は高くないのである。

手水舎の亀

手水舎の奥に置かれた亀の石像。
亀戸天神社の手水舎の亀のように水を吐き出す訳ではなくただ睨んでいるだけ。

建物

柴崎神社 👈失礼ながらWebサイトがしっかりしててビックリ

諏訪神社(千葉県柏市)

柏総鎮護 諏訪神社

柏駅からそう遠くはない場所に立地する諏訪神社。
写真にもほんの少し写っているが結構な数の猫がのんびりと歩いていた。

どうやらココはあのハシビロコウの御朱印や御守りで有名な神社らしい。
他にもミミズクの御守りなんかもあったりする。
ネットの情報では神主さんの鳥好きが高じて実現したんだとか。

しかし自分のお目当ては健康長寿の御守りだ。
なんとニホンイシガメがモデルになった亀柄だったりする。
まあコレだけみても背甲の色合いでニホンイシガメと分かるけれど、実は決定的な証拠もある。(笑)

売り場に貼られたポスターにハッキリと明記されているではないか。

「この健康長寿御守のモデルは、当柏諏訪神社で飼育されている日本を代表するニホンイシガメです。」

えっ⁉️
神社に池なんてあったの⁉️
それとも神主さんが個人的に飼育されているの⁉️
もしかして神主さんは鳥好きなだけではなく亀好き⁉️

まあこれでウチの子の冬眠中の健康祈願を安心してお願い出来る。

柏総鎮護 諏訪神社 👈御守りや御朱印のアグレッシブさは日本屈指

㈱亀の子束子西尾商店(東京都北区)

亀の子束子西尾商店
㈱亀の子束子西尾商店

明治40年創業の元祖亀の子束子の会社である。

同社の商標に描かれる亀の絵は十中八九ニホンイシガメと思われる。

束子が亀甲型である事に意義があるだけだから、別に亀の種類にまで拘っていない事は百も承知だ。(笑)
お店の人は「コレはウミガメではなくリクガメです」って説明してた。
恐らく陸亀と言うのはウミガメの対義語として用いたと思うけれど、ウミガメの対義語としては淡水亀の方が相応しいと思う。
束子の商品特性を鑑みればリクガメよりも淡水水棲亀と言い切ってバチは当たるまい。
だって四肢が明らかに水棲っぽいもん。

果たして創業100年を超える同社の創業者が商標のモデルにした亀は一体なんだったのか?
コレがニホンイシガメだと思えれば、ココも立派な聖地である。(笑)

店の入り口で出迎えてくれる足拭きマットが既に亀❣️

よ〜く見て欲しい。
ニホンイシガメの決め手となる背甲の後辺部にギザギザない。
でもクサガメの決め手となる3本のキールもない。
つぶらな黒目はニホンイシガメの特徴と言えるだろう。
自分はオスのニホンイシガメがモデルだと確信している。

コレ凄く欲しくて売り物かどうか尋ねたら、笑顔で非売品ですとかわされた。

まあ踏み絵のように踏みつけるのは亀飼いとしては忍びない。

店内は至る所に亀、亀、亀。
写真を撮り忘れたけれど、亀の姿を模した束子すら売っている。
亀好きなら一度は訪れてみたいスポットであると言える。

ココ本店は束子とノベルティグッズを販売する直営店である。
歴史を感じる趣ある建物とこぢんまりした店内には所狭しと亀グッズ、いや亀の子束子グッズが並んでいる。

なお店の横に来客用の駐車場が(多分一台だけ)あり、混んでなければ車を駆って訪問するのもアリだ。

お店で買ったグッズの紹介はこちら。

株式会社亀の子束子西尾商店


浮世絵

歌川広重 – 深川萬年橋/廣重名所江戸百景

江戸時代の浮世絵に亀が登場することがある。
まあ縁起の良い生き物だからね。
で、江戸時代の亀のモデルになるのはやっぱりニホンイシガメだったりする。
流石は歌川広重、ニホンイシガメの特徴を良く掴んでる。

歌川広重 – 深川萬年橋

歌川国芳 – 木曽街道六十九次之内 福島 浦嶋太郎

何故に浦島太郎と共に居る亀が淡水棲のニホンイシガメなのか?(笑)
しかもビミョーにクサガメ入っているし。
まあコレもニホンイシガメと思って間違い無いだろう。

歌川国芳 – 木曽街道六十九次之内 福島 浦嶋太郎

イシガメの里/松久保晃

イシガメの里の表紙
表紙
イシガメの里の裏表紙
裏表紙
小峰書店の「わたしのワンダー・身近な生きもの」シリーズの一冊。
どうも現在は新品での入手が出来ない状態みたいだ。

どうしても欲しくて、今熱いマイブームであるメルカリで入手した。

作者が幼少の頃見たイシガメの思い出を頼りにイシガメの里を再訪する写真集だ。
野性のニホンイシガメの姿は非常に貴重だと思う。

子どものころにイシガメを見つけた谷川。
動物カメラマンである著者は、生まれ故郷の淡路島にもどり
同じ谷川でイシガメに再会しました。
野性のイシガメの生態を観察し、産卵も撮影することができた。その感動を伝えます。

表紙そでより
ただでさえ臆病で用心深い彼らを目の当たりにすることは殆どない。
自分も無類の生き物好き少年だったが、自然界に生息するニホンイシガメを見た事がない。

灯台下暗しとは良く言ったものだ。
昔は日本各地にフツーに居た生物を研究する人は殆ど居ない。
だからこそ絶滅の危機さえ誰も気づかないのではないか?

ニホンオオカミやニホンカワウソの絶滅を憂いだ人はいなかったのか?
なぜ生物的に絶滅を回避出来ない数になるまでトキは放置されたのか?

気づいた人が動かなければ確実にニホンイシガメも同じ轍を踏むことになる。


池亀 蓑亀(池亀酒造/福岡県久留米市)

蓑亀(池上酒造)
左:池亀 蓑亀 辛口純米酒、右:池亀 蓑亀 特別純米酒
福岡県久留米市の池亀酒造の純米酒である。
池亀銘柄の中でも蓑亀と名付けられた本品のラベルは勿論蓑亀である。

蓑亀は淡水亀の背甲後端に藻類が付着した状態を指す。
そう、海亀ではなく淡水亀というのがポイントだ。

日本固有種の淡水亀は(一部島を除き)基本的に2種しか居ない。
ニホンイシガメとニホンスッポンだ。
そして背甲があるのはニホンイシガメのみだ。

即ち創業130余年を誇る同社が蓑亀のモデルにしたのは間違いなくニホンイシガメに他ならない。(笑)
後肢が非常に特徴を掴んでいると思う。

実は縁起の良い亀と名の付く日本酒の銘柄は多い。
しかしラベルの絵柄がニホンイシガメと判別できるのはこの池亀だけだと思う。

因みにお酒は殆ど飲まない。
このまま瓶を飾るだけでは蔵元に申し訳ないので、日本酒好きの知人に中身を呑んでもらおうと思っている。

蛇足だが同社の雫搾り 大吟醸 池亀という酒も同じデザインの蓑亀ラベルだったりする。
しかも蓑亀が高級感のある銀色だったりする。
本当はそっちを買うつもりだったが、丁度品切れ中だったため上画像の2種となったのはナイショだ。

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